症例3 – 胃がん

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男性 46歳

主訴胃癌(体下部後壁に印環細胞癌)
職業会社員(研究開発職)
精神ストレスを感じる事……人の要求 依頼を断る 期待に沿えない 度を超えた期待をされる
腹が立つ事……自身のやるべきことをしないで人に要求してくること
家系の病歴母→水虫、大腸癌
父→なし
兄弟→兄が欝で長期休み、弟は心臓を悪くしていた、肝臓も少し悪い。
目次

タイムライン

出生体重3500g

1~3歳  予防接種(BCG、ジフテリア、百日咳、日本脳炎、ポリオ、天然痘、インフルエンザ)

8歳        弟出生

二重とびが出来た喜びを母に伝えると、排尿中の弟のおしっこが止まり、母に叱られる。

10歳~  鼻炎・副鼻腔炎で耳鼻科に火曜。吸引器をあてていた。

15歳      水虫が目立つ。塗り薬を使用。母親は爪が変形するほどひどかった。

24歳      電機メーカーに就職。

25歳      胃を悪くする。薬、胃カメラのむ。合唱団で夜遅く飲んで体を酷使。コーヒーよく飲んだ。

34歳      耳下腺炎(おたふく風邪)の予防接種を受ける

45歳      部下病欠で2人分の仕事をする。さすがにつらいと思った。腰痛で一週間会社休む。

46歳      莫大な仕事量。家でも遅くまで作業。胃潰瘍で入院。検査後、胃癌の診断。

 

初回コンサルテーション 2012年11月20日

<基調 >

鼻炎  右目じりの上:イボ ホクロ

左耳下腺:ふくれた

体全体:冷えている 小さい頃体温は35度だった

首~肩:こり   背骨ねじれている

足:水虫   便:節だらけの便

 

 <全般 >

就寝時間:午前1~2時

起床時間:午前6~7時

夕食:午後11時30分

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内視鏡写真 潰瘍がはっきり残っている

 

1回目相談会

由井

これが確実に癌であるということを、言われたわけですよね。

そうですね。組織の検査で癌だと。潰瘍が血を出したので…。

由井: 医師はどうしようと思っているのですかね。

クライアント: 潰瘍が胃の真ん中あたりにあるらしいので、これを取るのであれば、バッサリ胃を取ってしまう全摘か、残しても5分の1とか、それぐらいだろうと。あと数日前に耳下腺がちょっと膨れました。

由井: おたふくにはかかったことあるの?

クライアント: おたふくには、かかっていないです。おたふくの予防注射を打ちました。34歳の時に。子供が一人できて、二人目ができる前だったのですけれども、子供ができなくなっても困るので、おたふくは受けました。

由井: 何時から何時に寝て、何時ごろご飯を食べているの?

クライアント: 今はちょっと休んでいるので。日が変わるまでには寝ていますけれども、仕事をしていた頃は1時から2時くらいに寝て6時頃に起きて いました。夕食は23時半くらいです。

由井: これ、胃にすごい負担がかかるね。最低でも21時前には食べないと。

クライアント: はい。

由井: 体は、自分は冷えていると思う? それともそうでもない?

クライアント: どちらかというと冷えている方です。小さい頃から体温は低い方だったので。

予防注射の時に、体温を測ったりすると、だいたい普通で35度台。

由井: 水虫あると言っていましたよね。体温を上げないと駄目だ。癌の人は徹底して体温を上げてカンジダを制覇しないと癌は消えない。

クライアント: はい。

由井: 会社では、すごくあなたは重宝された?

クライアント: 期待はされているっぽいです。

由井: ですよね。それにちゃんと受け応えて、一生懸命やるタイプなのかな。

クライアント: そうですね、はい。

由井: その一生懸命仕事をやらなければいけないのだという心は誰に学んだの?あなたのお父さんがそうだったの?

クライアント: 父親はそうですね。割と一生懸命やるタイプだったと思います。

由井: お父さんは泣いたり弱音を吐いたりあまりしないでしょうよ。

クライアント: 父はそんなに泣いたりはないですね。父は母とケンカすると、仕事場にプイと逃げてしまうみたいな…

両親がケンカしているのを見るのは、あまり好きではなかったですね。

由井: この二人はよくケンカをしていたかね。

クライアント: たまに言い争いになって。互い自分を通そうとして。

由井: 我を張るのね。会社でもそんな人一杯いると思うけど、どうですかね。

クライアント: 会社でもいますね。

由井: それに対してあなたはどう思うの。

クライアント: ちょっとやりにくいですね。

由井: そうなんだな。あなたの中には「道徳的に穏やかに物の言い方もできるだろう。人は怒ってもついていかないよ」というふうに思っているのではないかと思うのだけれども。

クライアント: そうですね。

由井: 黙って黙々と働く傾向があり、つい人の2倍も仕事して文句も言わない。会社にとって都合のよい人になっていましたね。あまり頑張り過ぎると胃がボロボロになるのでね。だから、もうちょっと、頑張らないように気を抜くように。それで、手を抜くように。手を抜く自分を許してあげましょう。

クライアント: はい。

 

レパトリー

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<処方>

随時1 MT)Can-Stom+Mump-V 30C+Ang.LM 3 +Elect.30C +Sel.12X

朝1 Caust. LM 1

昼1 Psor. LM 2 +Syph. LM 2

夜1 Merc-sol. LM 3

 

Caust.は、冷えから悪化。潰瘍のある胃癌に合います。

Psor.+Syph.は癌の症状には潰瘍のSyphと胃の上皮細胞にできるPsorをコンビにする。

Merc-sol.は、現在現れている潰瘍と耳下腺の症状に対して処方。早いうちにSyph傾向を制覇しなければ胃からの出血は止まらない。

 

2回目コンサルテーション:2014年1月24日

<全般>

気分はいい。 痛みは少ない。

歩く事ができる。 食べられる。

就寝時間:午後11時

起床時間:午前7時30分

立ちくらみが座っていて立ち上がった時、風呂に入って上がった時に起こる。

ヘモグロビン8-4 (8.4?)

便 丸っこいウサギの便 残便感 毎日出ている

便秘症 肉の量が多い 魚を食べると黒い出便が出た

 

内視鏡写真

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潰瘍の痕。はっきりと凹凸が見える

 

<2回目相談会>

由井: 内視鏡の写真を見ましたけどね、やっぱりひだが多いのではないかなと思うのですよ、前よりね。

クライアント: はい、そうですね。

由井: 医師はそれを病状が進んでいると言っているのですか。

クライアント: ええ、進行しているようだなという感じで言っています。まあ、写真で見た限りはということですけれども。胃の潰瘍から出血したみたいで便に血が混ざりました。立ちあがった時にフラッとして調べたら貧血と言われました。

由井: どうですかね、体調として。やっぱり不快感とか痛みとか出てきていますか。

クライアント: いや、あまり。そうでもなくて、最近は痛みも感じることが少なくなって、気分的にもいいです。

由井: 医師が癌が悪化していると言っても調子が良いということですね。

クライアント: そう思います。

由井: 潰瘍を閉じるためにニンジンも良いですよ。ビタミンAがあるので。それから、ビタミンBもあると潰瘍を閉じさせます。ビタミンBは大豆や大麦粉末をとってください。それから、もう少し山に行く。自然の中に行く。それで、朝日を浴びる。これをやってみて下さい。特に目の虹彩の中に朝日を入れるように。こうすると病気が治りやすいですよ。

クライアント: どうもありがとうございます。

 

レパトリー

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Nat-m.は、Nat.不足と鼻水(細胞外の体液)の為に処方しました。

His.は、長年摂っていた鼻スプレーを止めた事からのアレルギーに対して。

Carb-an.は、癌性の潰瘍。

癌はPsor.+Syph.+Syco.が合体してはじめてできる病気です。鼻と肺は双子の姉妹臓器。

Tub.はPsor.+Syph.+Syco.が合体して結核傾向を作る。

Tub.は、鼻がつまる原因に対して。癌の人は鼻が詰まっていることが多い。

Nux-v.は、消化器の解毒を促進します。

 

3回目コンサルテーション:2014年4月11日

内視鏡写真で、胃壁がきれいになっているのを確認しました。

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<3回目 相談会>

クライアント: 写真をお付けしたのですけれども。

由井: はい、はい。見ました。それで今度、すごくいいよね。

クライアント: ええ。いいようにまわってきたのかなという感じがして。

由井: そうですね。前と見ても、比べても、ものすごく胃壁の感じがすごくいい。

クライアント: ええ。

由井: しわがない時があったじゃないですか。これは腫れているんですよ。腫れているがゆえに、癌がドンとあるなというのがわかって、何か縮んでいるのです。これに対して前回医師は癌が進行していると言ったかもしれないけれど、私としては、「あ、縮んできているわ」と思っていたのですよ。そして徐々にしわもとれいい感じだと思っています。だから、こういうボーッと腫れている時はまだ、癌を作ろうとする勢いが強いということ。だから、それが縮んでくれた方がすごくいい。そういう意味ででは実は前回しわになって良くなっていたんですよ。Caust.,Merc-sol.が良く効きましたね。さらにCarb-an.が潰瘍を閉じさせ、こんなに早く胃の癌が良くなりましたね。

クライアント: それで調子が良かったんですね。

由井: そうですね。ところでこんなに良くなっているのですが会社はどうするのですか。

クライアント: 一応、5月終わりまでは、休んでそれから出社します。

由井: 確かに体調が良くなっていったら復帰せざるを得ないしね。

クライアント: ええ。

由井: 前みたいな生活の仕方をしていると、また病気になるのだから、どうしなければいけないかというのは自分の中で決めたかね?

クライアント: まあ無理はしないと。体の言うことを聞きながらやると。頑張らないと。

由井: もう一つ、やらなければいけないことがあるのですけれども、自分がいま思っている感情を肯定するということが大事ね。感情が湧き上がった時に自分を内観する。でもその感情が、こういう風に思ってはいけないとか、道徳が先に出てくると、また癌を作るね。だから感情を肯定的に取る事。憎んでいても、恨んでいても、怒っても。

クライアント: 自分がこう思っているということを認識するということですよね。

由井: 認めるということ。それと同時にすぐに大人の人というのは、「こういう風に思ってはいけない。相手も事情があるのだから」とか、「こんな風に思っている自分はどうしてこういう風に思うのか。いけない。憎んでいるのは駄目ではないか」とかすぐに道徳で抑圧しないように。それをやることが、熱の時に解熱剤を摂るのと同じということになる。だからその感情を感情日記にすぐ出していくというのはすごく大事だと思います。

クライアント: はい。

由井: 自分の感情を出すこととか、自分自身の本音を出すことが、お宅の家では、少しみんな出してはいけないみたいなのがあったのかなというのが、ちょっとあなたを見ていて思うのだけれども、その辺はどうですかね。

クライアント: あの、男の子はそんなにぺちゃくちゃしゃべらなくてもいいとか。そういうのはありましたので。

由井: それで、ぺちゃくちゃしゃべってはいけないという風になると、でもこうしゃべりたいとか、あ、感動した、あ、これ今、小川のせせらぎを聞いている。すごい良かったとか、そういう良い感情も抑えていくではないですか。

クライアント: そうですね。そういうのもあまり口には出さないで来ましたよね。

由井: ですね。そうすると共感ができないわけですよ。自分の中では感じているのだけれど、結局シェアをしない。感動も苦しみも同じ。苦しかったんだよって言わない。ぺちゃくちゃしゃべらない。それはあなたの家ではそういうルールがあったから。色々な感情を飲み込んで、喉をスルーして胃まで深く飲み込んでしまったということ。私が「仕事をやり過ぎたのではないの?」って、言うとあなたが「まあこんなものではないでしょうか」とよく言うけれど、本当にこんなものだったのかなって感じるわけですよ。今まで私が胃癌の男性を見てきて、その人たちの多くは弱音も吐かず死に物狂いで働いていましたよ。自分の能力が100だったら、120くらいでやっていましたよ。だから、あなたは感じていないかもしれないけれど、すごく頑張ってきたんじゃないかな。だからさっき言った、体の言うことを聞こう、頑張らなくてもいいんだと言ってあげたり、無理しないでおこうというのは、すごい大事なポイントになるかな。特にぺちゃくちゃしゃべらないでと怒られたときを思い出してもらいたいのだけど。

クライアント: 今一つ思い出しました。

由井: ああ、そう? 言ってみて。

クライアント: 自分が縄跳びで二重跳びが出来たという時に、「出来た!」と母親に言いに行ったら、ちょうど下の子を抱えておしっこをさせている所で、びっくりしておしっこが止まってしまったらしいのです。僕が大きい声を出して。「あなたがデカイ声を出すから止まってしまったじゃないの」と言って、怒られたことがありますね。

由井: だけど、嬉しかったよね。二重跳びできて嬉しかったんだよね。その嬉しかったという感情を、出したときに怒られているとなると、自分が思ったことを一間置こうと思うようになり、一間置いてしまったら、その感情は、もう過ぎ去っていくのですよ。フラットな感情になってしまう。そこが問題だと思うのね。他にも多分あると思うのですよ。ここで、こういう事を言ってはいけないのだなとか。こうして多くの感情を飲み込んで来たと思います。その辺をどんどん思い出してもらえればと思います。また自分には治る力がすごくあったということを徹底して自負することが最も大事なポイントになるかなと思います。これからは、感情を心から胃に落とさずうまく出してあげましょう。

クライアント: はい、ありがとうございます。

 

Carb-an. が効果を発揮したと思います。
胃の問題、胃の潰瘍、胃の癌にもすごくいいし、小さい頃の忘れたことを、思い出させてくれる事もあります。
2014年7月4日の時点、このクライアントは見事に社会復帰を遂げています。
仕事に復帰することができ、今はこれまでのように無理をしないで働いているそうです。

 

結論

レメディーで免疫が高まり、病気が治ると、クライアントは、もっと自分自身を生きようとします。

Carb-an. は、胃ガンにとても特化していると考察しました。そして二度と胃癌にならないために体を休めることや会社のためを思い自分以上の仕事をしないこと、つまりインチャを癒す事をすすめています。男性でも泣いたり弱音を吐いたりすることができるようになってもらいたいのです。熱の症状が体の老廃物を出しありがたいように湧きあがるいかなる感情でも排泄しているのですからありがたいのです。

以下、ハーネマンのマテリア・メディカ・プーラとクロニック・ディジーズのマテリア・メディカからの引用します。

Carb-an. RA・CKでの耳下腺、胃の記述 精神症状で関連する箇所

耳下腺

Carb-an.RA42耳下腺の腫脹 (参照:Rust’s Magaz. a.a.O)
Carb-an.CK131耳下腺の腫れ (Rust’s Magaz. f. d. Heilk. Bd. XXII. H. 1. S. 198.) (RA42)

 

Carb-an.CK20胃の消化不良、食べたものがほぼ全て症状の原因になる。
Carb-an.CK21胃の圧迫痛、荷重によるような。
Carb-an.CK22胃を引っつかまれるような、強く握られるような痛み。
Carb-an.CK201ただれたような痛みと焼けるような痛み、喉が胸やけするような、胃にまで達する。
Carb-an.CK271胃に圧迫痛、空腹時も。(RA80)
Carb-an.CK272胃に、つらい圧迫痛、晩、就寝後、寝床で。緩和するために、手で胃のあたりを圧迫しなければならなかった(16時間後)(女)(RA81)
Carb-an.CK273胃に圧迫痛、重苦しさと充満感を伴う、その時、呑酸の傾向もある
Carb-an.CK277胃に、頻繁な刺痛 (Htb. u. Tr.)
Carb-an.CK280胃に、穴があくような痛み、空腹から来るような痛みに近い、腹部へ向かう
Carb-an.CK617圧迫痛、胃と胸部に、そして時折下腹部に。

 

精神

Carb-an.CK2朝、見捨てられたように感じ、郷愁の念に満ちている。(男)
Carb-an.CK3郷愁(訳注:単にホームシックだけでなく、かつていた場所・関わった人々への慕情)。

 

Carb-an.CK26最初は無関心。その後、激情を引き起こすような外部からの刺激に対し、非常に敏感になる。(RA189)
Carb-an.CK421鼻詰まりのする鼻風邪。鼻で呼吸することができない。(男)(RA127)
Carb-an.CK422鼻詰まりのする鼻風邪。午前中から晩まで(1日目)(Htb. u. Tr.)
Carb-an.CK423鼻詰まりのする鼻風邪。朝、目覚めた時、起床後に消える (Htb. u. Tr.)
Carb-an.CK424左の鼻の穴が詰まる、午前中(2, 3日目)(Htb. u. Tr.)

 

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